1.投手の責任
■自責点の原則
- 自責点とは文字通り、投手が責任を持たなければいけない失点のこと。
”3アウトにできる守備機会を前に”、「安打、犠牲バント、犠牲フライ、四死球、盗塁、野選、刺殺、ボーク、暴投(三振振逃げ含む)」により「得点(失点)」した場合を自責点と呼びます。 - ”アウトにできる守備機会”とは、「打者、走者を実際にアウトにした場合」と、「失策によりアウトにできなかった場合」のことであり、失策もアウトにできる守備機会に数えられるわけです。
- したがって、”3アウトにできる守備機会を逸した後に”得点されても自責点にはなりません。
▼自責点とならないケース
- 「失策、捕手・野手の妨害、捕逸、で得点(失点)」した場合
- 上記のミス行為で「出塁した走者が生還」した場合
▼失策による進塁がからむケースの判断
- 「失策がなかったら」と仮定して記録者が判断。失策がなくても得点できたと判断すれば自責点。
得点できなかったと判断すれば、非自責点。
▼イニング途中で投手交代の時
- 同じイニングで投手が交代した場合、誰に自責点がつくのかはケースによって違います。
- 基本は、残した走者の「数」は前任投手の責任。「入れ替え」があっても同じ。
例えば、救援投手に対した打者が内野ゴロで、残した1塁走者が二封されて打者走者が1塁に残った場合は、走者が入れ替わっただけで走者の「数」は変わっていないため、前任投手の責任範囲です。 - 残された走者が盗塁や妨害等、打者によらないでアウトになった場合、残した走者が救援投手に対した打者と共に併殺された場合は、前任投手の責任はなくなります。
- 前任投手の「アウトの機会」は救援投手には適用されません。
例えば、前任投手が2失策と1アウトの場合、「3アウトの機会」はありましたが、救援投手には2失策は関係なく1アウトから始まります。
これはチームとしての自責点は付きませんが、個人投手には自責点がつくケースになります。
▼打席途中で投手交代
- 投手不利のカウント(以下に示す*)で救援投手が四球を出した場合は前任投手の責任。
それ以外のカウント(打者不利か対等なカウント)から引き継いだ場合、それ以外の結果は救援投手の責任範囲になります。
*投手不利なカウント:0ストライク2ボール(0-2)、0-3、1-2、1-3、2-3
スポンサーリンク
2.勝利投手の権利、条件
勝利投手の資格、負け投手の決まり、セーブ救援の与えられる条件を整理しましょう。
■先発投手の勝利の絶対条件
(1) 5回以上を投げ切る
(2) 交代時点で自チームがリード、その後も同点または逆転されることがなく、試合終了までリードを保つ
5回以上は6回以上の試合の場合であり、5回コールド試合の場合は4回となります。
交代した救援投手が一度同点または逆転された場合は先発投手の勝利の権利は消滅し、新たに試合が始まったものとして扱います。
▼先発5回未満、ビハインドで交代
先発投手が5回未満にビハインドで交代した場合、そのまま負ければ敗戦投手になることは明らかです。先発投手の交代以降で逆転勝利、しかも複数投手が救援したケースが難しいことになります。
ポイントは「最後のリードを奪った時点」で投げていた投手が勝利投手になります。ただし、投球イニングが短すぎる場合、記録員の判断で効果的な投球をした投手に権利を与える場合があります。例えば1イニング以上の差があれば投球イニングの長い救援投手に勝利の権利が移るという内規を決めている場合もあります。
▼先発5回未満、リードで交代
先発がリードしているにも関わらず5回未満で交代するケースがあります。その場合、救援投手の中で勝利に最も貢献した投手に勝利投手を与えます。判断基準は投球イニングが最も多い投手です。これもまた1イニング未満等の場合などは記録員の判断です。
▼投手に代打が出て退くケース
同点やビハインドの状況で代打や代走が出て退いた場合、同じく交代したイニング中に得点してリードすれば、その得点はその時点での投手のものになります。1点ビハインドで迎えた裏の攻撃で先発投手Aに代えて代打が出て逆転本塁打を放ち、その後救援投手Bがリードを保ったケースではA投手に勝利投手となります。
■敗戦投手の原則
(1) 先発投手の場合、ビハインドで退き、その後同点またはリードすることなく試合終了
(2) 救援投手の場合、自責点でビハインドとなり、その後同点またはリードしなかったら投球回数に関わらず敗戦が記録される
「最後にリードを奪われた投手」、「最初にビハインドを招いた投手」に敗戦を記録するのが基本です。一度、同点または逆転すればリセットされて、新たに試合が始まったものと考えます。
■セーブが付く条件
以下に示す要素を満足した投手が権利を得ます。
(1) 勝った試合の最後を投げ切った投手。
(2) 勝利投手にならない
(3) 以下のいずれかに該当する
・最低3イニングを投げる(点差関係なし)
・走者がなく、3点リードで1イニング以上投げる
・走者がいる場合、走者、または走者と相対する打者、または走者と相対する打者と次の打者が得点すれば同点となる状況(イニング数関係なし)。つまり相対する打者と次の打者に本塁打を打たれたら同点となる状況に登板。
「最後にリードを奪われた投手」、「最初にビハインドを招いた投手」に敗戦を記録するのが基本です。一度、同点または逆転すればリセットされて、新たに試合が始まったものと考えます。
スポンサーリンク
3.ボールインプレイとボールデッド
■ボールデッド
- ボールデッドとは、審判が「タイム」をかけたりして試合が中断状態となることです。
ただし、タイムをかけるのは審判であり、選手や監督がタイムを要求した時点ではないので注意が必要です。 - タイムがかけられている間は、すべてのプレイは中断するため、ランナーの進塁などはできません。
- またタイムは、投球中など試合が動いているときはかけることができません。しかし突発の事故や病気などが起こったときはタイムがかかります。
▼武相対日大藤沢戦 <2012年の教訓>
2012年の「武相vs日大藤沢」戦が思い出される。
2-2の同点で迎えた9回裏、守備につく武相、日大藤沢の攻撃。日大藤沢が1アウト1・2塁として武相は満塁策をとった。1アウト満塁の攻撃の場面で、日大藤沢の打者の打球は三遊間の内野に上がった飛球、審判はインフィールド・フライを宣告、2アウトに。
そこで武相内野手がタイムを掛けて投手に駆け寄るが、審判がタイムを認識していなかった(タイムがかかっていなかった)。2アウトとなりマウンド上に集まった武相ナインがひと呼吸置いて声を掛け合っているスキに、三塁走者がスルスルと走り出しホームを踏むという意外なサヨナラの幕切れとなった。
インフィールド・フライはボールインプレー。3塁走者はタッチアップでホームインする記録となった。
まさに審判がタイムをかけるまではインプレーという教訓である。
- そのほかボールデッドになる代表的なケースが「ファウルボール」がある。ファアルボールの場合は自動的にボールデッドとなり、審判が再度”プレー”を宣告しなければ試合は中断します。
- 他にも以下のようなケースがあります。
- 死球(デッドボール)
- ボーク
- 守備妨害、走塁妨害、打撃妨害など妨害
- ボールデッドゾーンにボールが入った場合(一塁への悪送球、エンタイトルツーベース、場外ホームラン)
- ボールデッドになった時には、ランナーは元の塁に戻らなければならない場合もあれば、次の塁に進める場合もあります。
■インプレー
- インプレーはその名前の通り、試合中のプレーが続いている状態のこと。ボールデッドではない状態をいいます。
フォアボール(四球)もインプレイです。バッターは一塁に行く権利を与えられているので、ゆっくりした動きで一塁に向かうことが多く、プレーが止まってボールデッドであるかのような錯覚に陥りがちですが、実はインプレイ、要注意です。
フォアボールの時に状況によってはバッターは一気に二塁あるいはそれ以上の塁まで行くことができます。
▼健大高崎の「機動破壊」
走塁が魅力、「機動破壊」を掲げる健大高崎の試合を明治神宮大会で観戦した時のことを思い出します。
エーッと思いましたが、フォアボールを選んだ打者が一塁手前から一気に二塁に走り出しました。不意を突かれる守備陣、三塁走者がいるケースなど、面白い状況、得点チャンスの場面となることが予想できる。一二塁間の挟殺プレーとなり、守備に暴投したりミスが出れば得点となり、本盗した場合もタッチプレーとなり面白い。
なお、デッドボール(死球)はボールデッドなので、打者は1塁までしか進塁できません。
以下、工事中。
スポンサーリンク