第91回選抜高校野球大会が3月23日に開会式が執り行われ、阪神甲子園球場での高校球児たちの熱戦の火ぶたが切られました。全32出場校の選手たちが、平成を代表する曲「世界に一つだけの花」の演奏に合わせて元気よく行進しました。
広島.広陵の秋山功太郎主将が、野球を支える方々への感謝の言葉と「日本中に笑顔の花を咲かせることを誓う」と、力強く、マイルドな宣誓をしていました。
開会式の進行司会、国歌斉唱など女子高校生の活躍、その凄さ・上手さにも感動します。柴山昌彦文部科学大臣の始球式は緊張の面持ち、グラブの持ち方がぎこちなく怪しい雰囲気でしたが、ノーバウンドのストライク。ナイスピッチング、素晴らしかったです。
150キロ超えの「高校生投手・四天王」を紹介
2019年ドラフトは、150キロ超えの「高校生投手・四天王」が話題を集めています。
北から大船渡高の157キロ右腕・佐々木朗希、横浜高の153キロ左腕・及川雅貴、星稜高の150キロ右腕・奥川恭伸、創志学園高の150キロ右腕・西純矢投手です。
そのそれぞれが大谷翔平(MLBロサンゼルス・エンゼルス)、菊池雄星(MLBシアトル・マリナーズ)、田中将大(MLBニューヨーク・ヤンキース)、ダルビッシュ有(MLBシカゴ・カブス)の再来として、期待大です。
センバツにはその4人のうち、及川投手と奥川投手の2人が出場します。
大会開幕日の3月23日第3試合に、星稜(石川)と履正社高(大阪)、翌24日第2試合に横浜(神奈川)と明豊(大分)の1回戦屈指の好カードが組まれ、及川・奥川両投手が登場する。
ここでは、「高校生投手・四天王」の名に連ねる4投手について、甲子園での様子を織り交ぜながら紹介していきます。
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星稜.奥川恭伸投手 履正社に17奪三振・完封の好発進! 抜群の安定感
星稜エースの奥川恭伸投手は、高校ナンバーワン投手として注目されています。昨年9月のU-18アジア選手権(宮崎)でも2年生唯一の代表入り、昨秋の新チームでの明治神宮大会でも準優勝を遂げて多くの実績を重ねてきています。
高校2年の春から3季連続となる甲子園登場で、今センバツ開幕初日、初完投初完封で飾りました。しかも、優勝候補の履正社(大阪)を相手に毎回の17奪三振、3被安打とういう成績。
明治神宮大会で観戦して以来の(TV)観戦となりましたが、勝負球のスライダーはタテにキレ、左打者の外角に逃げるツーシーム系に、終盤はフォークも織り交ぜて、投球の幅が広くなりました。とはいっても、何といってもやっぱり信条はストレート、本人が投球の軸と語るだけあって、打者の手元での球の伸びが他の選手のストレートとは違うように感じました。何回かランナーを背にした苦しい状況下でも最後は高めのストレートを振らせての三振、9回最終回の履正社.井上広大選手を迎えたピンチもまっすぐで決めて凡打に仕留めたところは印象的でした。
ほかの「BIG4」から頭ひとつ出てるのは安定感といえます。フォームもブレないし、球の軌道もブレない、下半身をうまく使って投げています。
この2019センバツ甲子園でも優勝候補筆頭の星稜、奥川・山瀬のバッテリーの投打の活躍には注目です。
星稜の2回戦は3月28日(木)、千葉.習志野との対戦です。関東勢、春日部共栄、横浜と敗れていく中、全国区の習志野ブラバンの「美爆音」が奥川投手に動揺を与えられるか、見ものです。
■奥川恭伸(おくがわ やすのぶ)投手のプロフィール
・生年月日:2001年4月16日
・出身地:石川県かほく市
・身長:183cm、体重:82kg
・学校経歴:石川県かほく市立宇ノ木小学校、かほく市立宇ノ木中学校、(石川県)星稜高校
・趣味:釣り
・家族:両親、兄
・投打:右投げ右打ち
・ポジション:ピッチャー
・身体能力:50m走は6秒5。遠投は100m。
・好きなプロ野球選手:田中将大(MLBニューヨーク・ヤンキース)
◇野球経歴
・宇ノ気小2年から宇ノ気ブルーサンダーで野球を始め、内野手兼投手。宇ノ気中1年から投手に専念、3年時に全国中学校軟式大会優勝。星稜高では1年春の北信越大会で公式戦初登板。2年春夏に甲子園出場。今週のセンバツで3度目の甲子園となる。
・4年生の時にバッテリーを組んだ山瀬慎之助捕手とは高校までバッテリーを組み続けています。山瀬捕手との絆は長年培ってきて非常に堅く、阿吽の呼吸で配球の組み立てもできてしまう?ほど。中学軟式では全国大会優勝を成し遂げ中学野球では2人はすでに有名人でした。
横浜.及川雅貴投手 153キロ本格左腕 三振が奪えるストレートとスライダーが強み
今センバツの「関東・東京」一般選考枠は最後の1枠(6枠目)をめぐり、東京準優勝.東海大菅生高と競い、関東ベスト8.横浜が掴みました。その最終的な決め手は、選抜選考委員の見解によると横浜エース.及川投手でした。高校No.1左腕、ストレートとスライダーの2つの球種で三振が奪取できるのが魅力。
150キロを超えるストレートに、ウイニングショットには斜めに鋭く曲がり落ちるスライダーを持ち、昨秋公式戦ではイニング41回1/3で59奪三振とドクターKぶりを発揮しています。ストレートと同じ腕の振りでスライダーを投げ込めるのが最大の強みである。
この2019センバツでは2日目に登場しましたが、味方の先制攻撃で4点リードするも3回一挙5失点、降板(右翼手の守備に移る)となりました。8回に再度登板しましたが、計4イニングを投げて奪三振は6個、被安打5の5失点と残念な結果となりました。
突如の制球の乱れは関東大会から観ていて一番恐れていたことです。まだまだ成長の伸びしろがあり、スペックは文句なく高いのですが、安定感が少しネックと感じていました。
183cmという高身長に対して、体重が74kgという細身。今年渡米、東北・楽天イーグルスからMLB・シアトル・マリナーズに移籍した菊池雄星クラスになるには下半身強化、ウェイトがほしいところです。菊池投手は183cm、88kgなんです。
今後がまだまだ伸びる楽しみな選手です。本番は夏、また神奈川で勝ち切って甲子園での活躍を期待します。
■及川雅貴(およかわ まさき)投手のプロフィール
・生年月日:2001年4月18日
・出身:千葉県匝瑳(そうさ)市
・身長:183cm、体重:74kg
・学校経歴:千葉県匝瑳市立須賀小学校、匝瑳市立八日市場第二中学校、(神奈川県)横浜高校
・趣味:音楽鑑賞
・家族:両親、姉
・投打:左投げ左打ち
・ポジション:ピッチャー
・身体能力:50m走は6秒0。遠投は110m。
・好きなプロ野球選手:菊池雄星(MLBシアトル・マリナーズ)
◇野球経歴
・野球を始めたのは小学3年生の時に地元の 須賀スポーツ少年団で軟式野球からでした。小学6年時には千葉ロッテジュニアに選ばれました。中学時代は匝瑳リトルシニアと硬式野球へと転向、中学3年時にはU-15侍ジャパンの左腕エースとして活躍。第3回WBSC杯世界大会で準優勝も果たして、最優秀防御率賞に輝きました。中3で身長は181㎝まで伸び、ストレートは138㎞/hまで球速を伸ばし、「スーパー中学生」と呼ばれ注目を浴びていました。
・千葉.匝瑳での横浜高校入学前からの活躍、横浜でも1年生からベンチ入りして、潜在能力の高さを見せつけている。1年夏の1回戦で、秀岳館(熊本)戦で救援。2年、夏の甲子園2回戦では、花咲徳栄(埼玉)と対戦して初先発、7回途中4失点で初勝利。
・世代のトップグループを走り続けて、左の速球派、ドラフト1位候補の逸材であることは間違いない。
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次に、選抜甲子園には一歩及ばなかった残り2名を紹介する。
創志学園.西純矢投手 ガッツポーズと帽子が飛ばす闘魂スタイル
最速150キロ右腕が注目を集めたのは、今夏の甲子園だ。ガッツポーズと帽子を飛ばして投げ込む闘志むき出しのスタイルが印象的です。
ガッツポーズとは当事者、受け取る人によっても、さまざまな感情が生まれ、賛否両論が交わされました。相手校の思いやるスポーツマンシップ、素直に喜びを表現する若さ、純粋さも十分理解できるが、難しい問題ですね。高校1年時に父が他界、2年生春からエースとなり、いろんな責任感が芽生えて見せる姿にもみえます。
個人的には、試合を主導する投手であるがゆえに、闘志は当然湧き出てくるだろうが、内に秘めて表に出さず、平常心をもってクレバーな投球をするのが理想の投手像です。
最速150キロのストレートのほか、得意のスライダー、カーブ、フォーク、チェンジアップ、ツーシームと球種は多彩。西のダルビッシュと呼ばれ、日本ハム入りした吉田輝星投手(現日本ハム・ファイターズ)の投法を研究し、発展途上にある西投手、これからです。
■西純矢(にし じゅんや)投手のプロフィール
・生年月日:2001年9月13日
・出身:広島県広島市生まれ
・身長:184cm、体重:85kg
・学校経歴:広島県広島市立鈴が峰小学校、廿日市市立阿品台中学校、(岡山県)創志学園
・趣味:音楽鑑賞
・家族:母、弟
・投打:右投げ右打ち
・ポジション:ピッチャー
・身体能力:50m走は6秒0。遠投は120m。
・好きなプロ野球選手:前田健太(MLBロサンゼルス・ドジャーズ)
◇野球経歴
・鈴が峰小2年時に地元、鈴が峰レッズで野球を始め、阿品台中ではヤングひろしまに所属。中学3年時に「NOMO JAPAN」に選出される。
・創志学園では1年春からベンチ入り。2年の夏、創成館(長崎)との1回戦で4安打16奪三振の完封。2回戦、下関国際(山口)との試合でド派手なガッツポーズを球審に注意され、9四死球と制球を乱して4-5で敗れたのは記憶に新しい。秋季大会では、ガッツポーズはベンチ裏に隠れ、マウンド上でのガッツポーズは封印。
大船渡.佐々木朗希投手 最速157キロ みちのくの底知れぬ怪物
昨秋の県大会で2年生最速タイ記録とされる157キロをマークし、名前こそ一気に全国に知れ渡った。中学時代に軟式で141キロを記録して注目されたが、強豪私学に進学せずに地元の高校を選択 。地震で大変な思いをした仲間と頑張ることに意味がある、地元に恩返ししたい、地元を盛り上げたいという気持ちからとのこと。素晴らしい。
次の目標は160キロオーバー。189cmの長身から投げ、腕のしなりもあり、力強さはないが、球のスピードと回転が非常に良く、将来が非常に期待されています。球種はスライダーとチェンジアップ、フォーク。
腰痛、椎間板ヘルニアや股関節痛を経験するなど身体は未完成だが、体幹強化のトレーニングや入念なストレッチで柔軟性により球速をどんどん伸ばしてきており、他の3名よりは全国知名度がなく、将来性は伸びしろ十分で群を抜いていますが、未知数。
■佐々木朗希(ささき ろうき)投手のプロフィール
・生年月日:2001年11月3日
・出身地:岩手県陸前高田市生まれ
・身長:189cm、体重:83kg
・学校経歴:岩手県陸前高田市立高田小学校、大船渡市立猪川小学校大船渡市立第一中学校、(岩手県)大船渡高
・家族:母、兄、弟
・投打:右投げ右打ち
・ポジション:ピッチャー
・身体能力:50mは5秒9
◇野球経歴
・小学3年で 高田野球スポーツ少年団で野球を始め、小4だった2011年の東日本大震災で被災し、大船渡に移住。中学時代、オール気仙(陸前高田市、大船渡市、気仙郡住田町の中学生軟式野球選抜チーム)に選ばれる。
・大船渡高校では1年夏からベンチ入りし、2年秋から背番号1。2018年6月には実績がない状態で高校日本代表候補にも選ばれる。昨秋、県大会の準決勝、強打の盛岡大付に対して10奪三振を見せるも10安打を浴びて7失点(自責6)で完投負け。
・東日本大震災で津波による甚大な被害を受けた岩手沿岸部の学校だけに21世紀枠での来春センバツ出場を有力視もあったが、呆気なく岩手県21世紀枠推薦から外れ、甲子園の舞台で見るチャンスは、来夏の1回だけのラストチャンスになります。投手力だけでは難しいが、期待して見守っていきたい。
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「センバツ甲子園情報」を紹介する雑誌です。
毎日新聞社からの公式ガイドブックも販売されました。
◇Number(ナンバー)974号「イチローを見よ。ICHIRO OPENING 2019」 文藝春秋 (2019年3月14日発売)
◇センバツ2019 第91回選抜高校野球大会公式ガイドブック (サンデー毎日増刊) 毎日新聞出版 (2019年3月13日発売)
◇センバツ 2019 第91回選抜高校野球大会完全ガイド (週刊ベースボール別冊春季号) ベースボール・マガジン社 (2019年2月9日発売)
◇高校野球 2019年 03 月号 [雑誌] 報知新聞社 (2019年2月6日発売)
◇ホームラン2019年3月号 第91回選抜高校野球大会総合展望号 廣済堂出版 (2019年2月8日発売)