コラム 2020春センバツ甲子園・第92回大会

2020選抜高校野球 センバツ21世紀枠候補の行方 - 地区候補9校の紹介 -

投稿日:2020年1月8日 更新日:

来春センバツ甲子園、第92回選抜高校野球大会(令和2年)に向けて21世紀枠候補の二次選考があり、候補9校が12月13日に発表されています。最終の選考は一般枠を含めて1月24日に32校出場校が決まります。

さて21世紀枠の注目校を予想に対してどれだけ当たったか、地区ごとの候補の絞り込みはどうだったのか、選考理由を含めて確認していきます。

高校野球 スコア

21世紀枠候補9校

■帯広農業(道立、北海道帯広市)

  • 秋季戦績   : 北海道大会ベスト4(2019年)
  • 甲子園成績  : 春なし、夏1回(1982)
  • 選考理由   : 部員の多くが農業後継者で、地域の基幹産業である農業の担い手を育成する学校。乳牛や園芸の実習が多く、全員そろう練習は土日のみの中、秋季全道大会で公立校で唯一4強。

1920年(大正9)、十勝農業学校として創立の道立校。NHK朝ドラ「なつぞら」で広瀬すずさんが演じたヒロインが通っていた「十勝農業高校」のモデル校です。野球部は1926年(昭元)創部で部員は1、2年生で36人。農業科学科が育てた大豆に砂糖、酪農科学科が搾乳した牛乳を混ぜて”自家製プロテイン”を開発して練習の合間に選手たちが飲んでいたというエピソードも面白いですね。

■磐城(県立、福島県いわき市)

  • 秋季戦績   : 福島県大会3位、東北地区大会ベスト8
  • 甲子園成績  : 夏9回(1963、68、70、71、74、75、85、95)
  • 選考理由   : 昨年台風19号の被害にあったが、地域のために貢献。その中で大会出場を決定し、県大会3位、地区大会8強の好成績を収めた。

1896年(明治29)創立の伝統校、野球部も1906年創部。甲子園春2回、夏7回出場の経験がある。昨年は県大会3位、東北大会開催中に台風19号で浸水被害に遭い、避難する選手がいる緊迫した状況の中で出場継続を決断し、大会では2勝をあげてベスト8の成績を残した。

■宇都宮(県立、栃木県宇都宮市)

  • 秋季戦績   : 栃木県秋季大会ベスト8
  • 甲子園成績  : 春なし、夏1回(1982)
  • 選考理由   : 県内屈指の進学校で、学業と部活動を両立させる文武両道校。部員19人の少人数で秋季県大会8強。台風19号災害地でボランティア活動。

1879年(明12)創立、今年で140周年を迎える文武両道校。卒業生には野球殿堂入りした青井鉞男、君島一郎氏のほか、中川一郎(元衆議院議員)。

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■敦賀(県立、福井県敦賀市)

  • 秋季戦績   : 福井県大会準優勝、北信越地区大会ベスト8
  • 甲子園成績  : 夏17回、春4回(敦賀商時代12回含む)
  • 選考理由   : 手作りの狭いグラウンドで練習工夫して、秋季県大会で準優勝。勝利至上主義からの脱却狙う。

1906年(明39)に敦賀商が開校。48年に敦賀高等女学校、敦賀商、敦賀中が統合して設立。野球部は1906年創部。グラウンドは狭く、バックネットが県内で唯一ない。球を打たずに軌道を追う「イメージ打撃」など練習を工夫。勉強時間確保のため休日練習は短く、自主練習を重視、全員への全ポジション指導や練習試合での全員出場を行い、勝利至上主義から脱却を図っている。OBに元プロ野球選手の松木謙治郎氏、俳優の大和田伸也さん。

■近大高専(私立、三重県名張市)

  • 秋季戦績   : 三重県大会優勝、東海大会出場
  • 甲子園成績  : 出場なし
  • 選考理由   : 高等専門学校。部活と学業を両立して資格取得する中で県大会で優勝を果たす。地元の行事などにも積極参加し、少子高齢化が進む地域を盛り上げている。

1962年(昭37)、熊野高等専門学校として開校の私学。00年、現校名に改名、11年に名張市に移転。全国57校の高等専門学校の一つ。実験や資格取得に向けた補習のため、全員そろっての練習時間が限られ、選手主体で効率的な練習に取り組みました。主なOBに元巨人の鬼屋敷正人捕手。

■伊香(県立、滋賀県長浜市)

  • 秋季戦績   : 滋賀県大会ベスト4
  • 甲子園成績  : 春1回(1987)、夏4回(1968、73、77、87)
  • 選考理由   : 冬場は部員が通学路や高齢者宅周辺の除雪を長年行う。その豪雪地帯にありながら、県大会4強進出。地域住民でつくる「体育後援会」と積極的に交流。

1948年創立。部員23人が地元出身。秋季大会では準決勝で優勝した近江に延長11回、0-1で惜敗。エース隼瀬一樹投手(2年)はプロ注目の右腕。主なOBに社会人で活躍された元新日鉄広畑の藤高俊彦投手。

■平田(県立、島根県出雲市)

  • 秋季戦績   : 島根県準優勝、中国大会ベスト8
  • 甲子園成績  : 出場なし
  • 選考理由   : 野球の普及活動に積極的で普及班企画による地元園児との野球体験会を開催して、地域活性化に貢献。狭いグランドを工夫して練習に取り組む。

1916年(大5)平田農学校として開校。昨年は中国地区候補校に選ばれたが補欠1位校で出場ならず、待望の甲子園へあと一歩。平日の練習時間は2時間で、グラウンドは狭く陸上部とサッカー部との共用のため、戦術練習に力を入れて大胆な守備シフトを敷くなど、中国大会で1勝を挙げた成果。

 

■城東(県立、徳島県徳島市)

  • 秋季戦績   : 徳島県大会3位、四国地区大会ベスト8
  • 甲子園成績  : 出場なし
  • 選考理由   : 県内屈指の進学校。創部以来、学校周辺の清掃活動を行ってきた

1906年(明39)に敦賀商が開校。48年に敦賀高等女学校、敦賀商、敦賀中が統合して設立。野球部は1906年創部。創部以来、学校周辺の清掃活動を継続、「野球研究部になれ」を旗印に試合で起こるプレーを研究して練習内容を工夫を積む。

■本部(県立もとぶ、沖縄県国頭郡)

  • 秋季戦績   : 沖縄県大会ベスト8
  • 甲子園成績  : 出場なし
  • 選考理由   : 編成整備計画で統合が検討されたこともある小規模校。地域ボランティアに積極参加。

1967年開校。1学年2クラスの小規模校で町唯一の高校。2011年に統廃合が検討された。以前は他校選手を借りて大会出場していたほど。秋季大会では選手17人で躍進、県大会8強。準々決勝で優勝した沖縄尚学に3-5で惜敗した。テスト期間中は早朝や放課後の勉強会を行い、他部も同様に取り組むなど模範行動、周囲に好影響も与えている。

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最終選考3校を予想

選考は東日本と西日本で、まず1校ずつを選出し、3校目を東西の次点校から審議する。

ズバリ、ヤマちゃんは以下のとおり3校と予想する。

・栃木県立 宇都宮(関東)
・沖縄県立 本部(九州)
・北海道立 帯広農業(北海道)

文武両道(宇都宮)、少人数・環境(本部)、話題性・オリジナリティ(帯広農業)で勝負です。

2018夏の甲子園 慶應義塾 初戦サヨナラ勝利

各都道府県の21世紀枠推薦校(一次選考)

青字:ヤマちゃん注目校

地区 都道府県 学校名 秋季大会成績
(都道府県)
地区大会成績 地区候補9校
北海道 北海道 道立帯広農業 ベスト4
東北 青森 私立東奥義塾 3位 ベスト8
岩手 県立盛岡商業 ベスト4
秋田 県立由利 ベスト4
山形 県立鶴岡工業 ベスト8
宮城 市立仙台商業 準優勝 出場
福島 県立磐城 ベスト4 ベスト8
関東 茨城 私立常磐大学 ベスト8
栃木 県立宇都宮 ベスト8
群馬 県立伊勢崎清明 ベスト8
埼玉 川口市立 ベスト4
山梨 私立駿台甲府 準優勝 出場
千葉 県立東金 ベスト16
神奈川 私立三浦学苑 ベスト4
東京 東京 私立日大二 ベスト8
北信越 長野 県立木曽青峰 ベスト16
新潟 私立北越高校 優勝 ベスト4
富山 県立高岡南 ベスト8
石川 県立金沢商業 ベスト4 ベスト8
福井 県立敦賀 準優勝 ベスト8
東海 静岡 県立浜松西 ベスト8
愛知 県立東浦 ベスト16
岐阜 県立大垣西 ベスト4
三重 私立近畿大工業高専 優勝
近畿 滋賀 県立伊香 ベスト4
京都 府立西城陽 ベスト4
奈良 県立奈良 ベスト4
和歌山 県立日高中津分校 ベスト4
大阪 私立箕面学園 ベスト8
兵庫 市立西宮 ベスト8
中国 岡山 県立岡山一宮 ベスト16
鳥取 県立倉吉東 ベスト4 出場
広島 県立油木 ベスト16
島根 県立平田 準優勝 ベスト8
山口 県立豊浦 優勝 出場
四国 香川 県立高松北 ベスト8
愛媛 県立松山北 ベスト8
徳島 県立城東 ベスト4 ベスト8
高知 県立高知工業 ベスト8
九州 福岡 県立宗像 ベスト4
佐賀 県立白石 ベスト4
長崎 県立大村 ベスト8
熊本 県立球磨工業 ベスト16
大分 私立大分国際情報 ベスト4
宮崎 県立宮崎北 ベスト4
鹿児島 県立枕崎 ベスト4
沖縄 県立本部 ベスト8

 

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■「21世紀枠」の選出方法

◇東日本  :1校
◇西日本  :1校
◇地域問わず:1校 合計3校

2001年、21世紀最初の年、第73回大会から採用された出場枠。

《選考方法》

1次:各都道府県で1校ずつ、2次:各地区1校の9校まで絞られ、最終選考で3校が選考されます。

《推薦基準》

(1)秋季都道府県大会のベスト16以上(加盟校が129校以上の都道府県はベスト32以上※)が対象。
※北海道、埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫、福岡

(2)以下の推薦例のいずれかに当てはまる学校。
▽ 少数部員、施設面のハンディ、自然災害など困難な環境の克服 [困難] ▽ 学業と部活動の両立 [学力] ▽ 近年の試合成績が良好ながら、強豪校に惜敗するなどして甲子園出場機会に恵まれていない [実績] ▽ 創意工夫した練習で成果を上げている [創意工夫・オリジナリティ] ▽ 校内、地域での活動が他の生徒や他校、地域に好影響を与えている [伝統・模範] (毎日新聞2017年1月27日から引用)

歴代21世紀枠出場とその傾向

2001年から『21世紀枠』が始まり、18年にわたりどの県からの出場校が多いのか、どの県が最終選考で選ばれているのか調べてみました。

2018年は石岡一(茨城)、富岡西(徳島)、熊本西(熊本)の3校が選出され、茨城、熊本からは初の選出となりました。

■同一県出場回数

1位) 3回:北海道、岩手、宮城、和歌山、島根

2位) 2回:秋田、福島、愛知、新潟、滋賀、兵庫、徳島、愛媛、香川、高知

■出場実績なし

(東北)青森、(関東)群馬、埼玉、神奈川、(東海)静岡、三重、(北信越)長野、富山、福井、(近畿)京都、大阪、奈良、(中国)鳥取、岡山、広島、(九州)福岡、長崎

1位は3回で5道県。まだ18年の歴史、飛び抜けた出場(選考)回数が多い県はありませんでした。宮城は東北の中心なので少し意外でした。ちなみに2009年利府(宮城)は21世紀枠で出場した中で最高の成績、ベスト4まで進出しています。

2位となると、2回の10県となりました。四国4県がすべて2回選考されている点は目立ちました。地区別ではダントツ、4県で8回ですからね。
野球も強いし、21世紀枠にも選ばれるし、四国が野球に熱いのは分かります。

 

出場回数なしは、埼玉、神奈川、京都、大阪、広島、福岡などやはり都会からは選考されていません。以外にも東京は都立小山台が2014年選考されています。

逆に青森、長野、富山、福井、鳥取などは雪国であったり練習環境が困難な地域でもあるような気がしますが、案外選ばれていません。

平均的な地域、県なんでしょうか、なかなかあまり傾向は掴めません。

■歴代21世紀枠出場校と都道府県別回数

地区 都道府県 21世紀枠出場・高校名 出場(選考)回数
北海道 北海道 02鵡川 12女満別 13遠軽 ***3回 3回
東北 青森 11回
岩手 04一関一 16釜石 17不来方 ***3回
秋田 11大館鳳鳴 18由利工 **2回
山形 10山形中央 *1回
宮城 05一迫商 09利府 12石巻工 ***3回
福島 01安積 13いわき海星 **2回
関東 茨城 19石岡一 *1回 4回
栃木 06真岡工 *1回
群馬
埼玉
千葉 08安房 *1回
神奈川
山梨 07都留 *1回
東京 14小山台 *1回 1回
東海 静岡 3回
愛知 08成章 15豊橋工 **2回
岐阜 17多治見 *1回
三重
北信越 新潟 03柏崎 11佐渡 **2回 3回
長野
富山
石川 06金沢桜丘 *1回
福井
近畿 滋賀 09彦根東 18膳所 **2回 7回
京都
大阪
兵庫 12洲本 16長田 **2回
奈良
和歌山 10向陽 14海南 15桐蔭 ***3回
中国 島根 02松江北 03隠岐 13益田翔陽 ***3回 4回
鳥取
岡山
広島
山口 08華陵 *1回
四国 徳島 10川島 11城南 19富岡西 ***3回 9回
香川 05高松 16小豆島 **2回
愛媛 04八幡浜 15松山東 **2回
高知 13土佐 17中村 **2回
九州 福岡 6回
佐賀 18伊万里 *1回
長崎
熊本 19熊本西 *1回
大分 09大分上野丘 *1回
宮崎 07都城泉ケ丘 *1回
鹿児島 14大島 *1回
沖縄 01宜野座 *1回

※高校名の先頭の数字は20xx、出場年を表します。

2018夏の甲子園 慶應義塾vs高知商

 

2020選抜・センバツ出場校の予想はこちら

■2020選抜・センバツ出場校予想【北海道・東北・関東・東京】編

■2020選抜・センバツ出場校予想【東海・北信越】編

■2020選抜・センバツ出場校予想【近畿・中国・四国・九州】編

2020センバツの気になる雑誌紹介

2019秋の県大会から地区大会の成績、さらには選抜甲子園出場校まで大予想されています。注目選手の情報も満載。
選抜大会特集号も発売されます。片手にとってみてください。

◇センバツ 2020 第92回選抜高校野球大会完全ガイド (週刊ベースボール別冊春季号) ベースボール・マガジン社

◇ホームラン2020年3月号 第92回選抜高校野球大会総合展望号 廣済堂出版

◇センバツ2020 第92回選抜高校野球大会公式ガイドブック (サンデー毎日増刊) 毎日新聞出版

◇報知高校野球 2020年 03月号 報知新聞社

◇ホームラン2020年1月号 廣済堂出版

◇高校野球 2020年 01 月号 報知新聞社

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