選抜センバツ大会の出場枠には、各地区の秋季大会を勝ち抜いた学校から選ばれる「一般枠」と、困難な状況を克服したり、他校の模範となっている学校が選ばれる『21世紀枠』があります。
いま、ほぼ各都道府県推薦の『21世紀枠』の候補校が決まってきています。
どのような仕組みと基準で選出、決定されていくのか、どんな結果になったのか見ていきたいと思います。
11月から逐次、各都道府県で発表されていた推薦校が、21日にすべて発表されました。いよいよ21世紀枠の選考が始まります。
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推薦基準と選考方法
『21世紀枠』は、2001年(21世紀最初の年)の第73回大会から設けられた出場枠の一つ。
■推薦基準
(1)秋季都道府県大会のベスト16以上(加盟校が129校以上の都道府県はベスト32以上※)が対象。
※北海道、埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫、福岡
(2)以下の推薦例のいずれかに当てはまる学校。
▽ 少数部員、施設面のハンディ、自然災害など困難な環境の克服 [困難] ▽ 学業と部活動の両立 [学力] ▽ 近年の試合成績が良好ながら、強豪校に惜敗するなどして甲子園出場機会に恵まれていない [実績] ▽ 創意工夫した練習で成果を上げている [創意工夫・オリジナリティ] ▽ 校内、地域での活動が他の生徒や他校、地域に好影響を与えている [伝統・模範] (毎日新聞)
■選考方法
21世紀枠は、全国の候補校9校から3校を選出。以下の手続きで選考されていく。
(1)各都道府県の高野連が推薦校1校を選出
※北海道は単独地区のため(2)から選出
(2)全国9地区の代表推薦校を決定・・・・・12月15日
(北海道、東北、関東・東京、東海、北信越、近畿、中国、四国、九州)
(3)毎年1月下旬、「選抜出場校選考委員会」で21世紀枠3校を決定
・東日本(北海道、東北、関東・東京、東海、北信越の各地区):1校
・西日本(近畿、中国、四国、九州の各地区):1校
・地域を限定せず:1校
都道府県推薦校の紹介
それでは、各地区の秋季大会の結果と推薦校を見ていきます。各都道府県の推薦ニュースからコメントをまとめてみました。
■これまでの出場校と傾向
21世紀枠らしく、北海道、岩手、宮城、和歌山、島根県で3回、四国4県は各2回ずつ選考されており、豪雪や自然災害等による練習が困難、地域復興・ボランティア活動に貢献したなどの模範校として、地方中心に選出されているように思います。
まだ選出されていない地方圏は期待ですね。今年は豪雨や台風被害がありましたね。
あとは文武両道、進学校で、しっかりと野球、部活動で好成績を上げている実力校が選出されています。下表で偏差値なども調査*してみました。滋賀県推薦の県立膳所高校は県トップの進学校(偏差値76-72)ですね。
◇出身プロ野球選手
プロ野球選手の出身校では、以下の出身校が選ばれています。懐かしい方々ばかりです。
【神奈川】鎌倉学園:若田部健一(元福岡ダイエーホークス・横浜ベイスターズ投手)
【徳島】生光学園 :武田久(現北海道日本ハムファイターズ)
【和歌山】星林 :小久保裕紀(前日本代表監督、元福岡ソフトバンクホークス・読売ジャイアンツ・福岡ダイエーホークス野手)
【鳥取】米子工 :角盈男(元読売ジャイアンツ投手)
【広島】大竹 :簑田浩二(元読売ジャイアンツ・阪急ブレーブス選手)
【福岡】小倉 :安田猛(元ヤクルトスワローズ投手)
◇出身著名人
政治家、学者からミュージシャン、漫画家など、文化人の方々の出身校が候補として挙げられています。なかなか面白いですね。
【宮城】角田 :大槻義彦(物理学者)
【東京】佼成学園 :ドン小西(ファッションデザイナー)、スガシカオ(シンガーソングライター)
【埼玉】市立川越 :市村正親(俳優)
【神奈川】鎌倉学園:桑田佳祐(ミュージシャン)、堺正章(タレント、ミュージシャン)
【新潟】長岡大手 :スネオヘアー(ミュージシャン)
【長野】松本深志 :五島慶太(東急創業者実業家) 、降旗康男(映画監督)、田中康夫(元長野県知事・小説家)
【京都】乙訓 :有田芳生(ジャーナリスト)、稲田朋美(政治家)
【大阪】池田 :鳥井信一郎(サントリー元会長)
【鳥取】米子工 :宮川大助(漫才師)
【島根】大田 :宮根誠司(アナウンサー)
【高知】高知追手前:やなせたかし(漫画家)、寺田寅彦(物理学者・エッセイスト)
【福岡】小倉 :わたせせいぞう(イラストレーター、漫画家)、杉山邦博(元NHKアナウンサー)
【熊本】熊本商 :片岡安祐美(女子野球選手)
【大分】大分舞鶴 :南こうせつ(フォークシンガー)、伊勢正三(シンガーソングライター)
【長崎】長崎工 :福山雅治(歌手・俳優)
東日本の『21世紀枠』代表校を予想
- 東北地区では、昨年台風10号により練習場やボール・ヘルメットなどの被害を受けながら、被災各戸の泥出しに励むなど復旧に尽力した久慈(岩手)。今秋は岩手県ベスト4に留まったが、春・夏は県準優勝という結果を残している。
そして、東北地区大会ベスト8となった由利工(秋田)が有力とみる。 - 関東地区は、こんな環境等よりは実績重視となると考える。首都圏の有名強豪校、全国トップレベルの強豪校、優勝候補に勝った実績が評価できる市立川越(埼玉)、鎌倉学園(神奈川)あたりが有力。市立川越は浦和学院に勝ち、関東地区大会に出場(1回戦を突破できれば有効ポイントだったが、残念)。
鎌倉学園は横浜にコールド勝ち、残念ながら県4位で関東大会出場ならず。文武両道の進学校(偏差値67)、男子校と伝統・歴史ある学校。 - 東京都内の強豪校(国士舘、東海大高輪台、堀越)に勝ち抜き、決勝の日大三に惜敗した佼成学園(東京)は、関東・東京の『一般枠』5枠目の候補との争い。
- 東海、北信越では、公立か私立校との比較、成績をどう評価みるかだ。私立校では、愛知産業大三河(愛知)は、秋季大会で中京大中京、大府、享栄、志学館といった県内強豪校をなぎ倒し準優勝(東海大会で1勝したかった)。富山国際大付(富山)も地区大会ベスト4の実績を上げた。
一方、公立校では、大垣西(岐阜)が地区ベスト8、金津(福井)の県大会初優勝(北信越地区大会出場、1回戦敗退)。富山、福井から過去選出がなく、今年は有利かも。 - 個人的には故郷.静岡県推薦の市立静岡(静岡)(静岡市内では通称「いちこう」と呼ばれる)も見逃せない。今年4月から指揮を執る安井新太郎監督の卓越した手腕で、”リノベーション”をスローガンにあいさつや練習方法を見直し、創意工夫を凝らし、生徒の意識を改革している。県大会準決勝では東海大会覇者.静岡に惜敗、県4位の成績を残した。
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■東日本
21世紀枠候補校
地区 | 都道府県 | 2018推薦校 | [実績] | 偏差値 [学力]* | [困難] | [創意工夫] | [模範] | 21世紀枠 出場歴 | |
2017 秋季大会 |
戦いぶり 2017秋/他 |
||||||||
北海道 204 |
函館工 (地区推薦校決定と同時に選出) |
道ベスト8 | ●1-8北海道栄 ○9-4武修館 ○6-2札幌創成 ○3-1函館大有斗 |
48 | グラウンド共用。短期集中型の練習 | 春夏秋冬で工夫して条件を克服 | ○ 地域密着 |
2002鵡川 2012女満別 2013遠軽 |
|
東北 | 青森 63 |
八戸高専(国) | 県4位 | 2017秋.創部初の県大会出場、準決勝進出。 ●1-4八戸学院光星 ●0-10青森山田 ○7-0三沢商 ○4-2弘前工 ○8-1大湊 |
63 | 文武両道 | |||
岩手 68 |
久慈(県) | 県ベスト4 | ●3-15関学院 ●4-7黒沢尻工 ○2-1水沢 ○7-4花巻南 ○12-5福岡 ----- 2017春、夏準優勝 ●2-13盛岡大附 ○6ー4大船渡東 ○5ー4黒沢尻工 ●0-9盛岡大附 ○5ー1大船渡東 |
47 | 台風被災 | ○ | 2004一関一 2016釜石 2017不来方 |
||
秋田 47 |
由利工(県) | 地区ベスト8 県3位 |
●2-4花巻東 ○5 - 4弘前東 ○4-1能代 ●1-5能代松陽 ○6-2湯沢翔北 ○5-1秋田修英 |
44 | 地域少子化による志願者減 | ○ | 2011大館鳳鳴 | ||
山形 49 |
九里学園(私) | 県ベスト8 | ●3-4酒田光陵 ○10-0山形明正 ----- 2017春.東北地区 ●3-4東北 ○7ー5角館 |
52-42 | 豪雪地域。 女子校が共学化、2000年創部 |
タブレット端末を活用 | 2010山形中央 | ||
宮城 69 |
角田(県) | 県4位 | ●1-8仙台南 ●0-8仙台育英 ○5-1名取北 ○10-9仙台 |
48 | 少数部員17人 | ○ | 2005一迫商 2009利府 2012石巻工 |
||
福島 78 |
磐城(県) | 県ベスト8 | ●1-14学法石川 ○5-1日大東北 ○7-3東日本国際大昌平 ----- 2015、16春東北地区 ●1-5九里学園 ●7-9弘前学院聖愛 ○8-4山形城北 |
64 進学校 |
野球と学業両立 | 分刻みの練習プラン | 2001安積 2013いわき海星 |
||
関東 ・ 東京 |
茨城 98 |
日立第一(県) | 県ベスト4 | ●0-3霞ヶ浦 ○5-1水戸商 ○10-3水戸葵陵 ○5-1下館一 ----- 2015夏.準優勝 ●0-2霞ヶ浦 |
65 進学校 |
文武両道 | ○ | ||
栃木 61 |
藤岡中央(県) | 県ベスト4 | ●4-5関東学園大附 ○2-1前橋育英 ○5-3沼田 ○6-1桐生西 ○3-1高崎工 |
43 | 少数部員 文武両道 |
2006真岡工 | |||
群馬 65 |
青藍泰斗(私) | 県ベスト4 | ●2-4國學院栃木 ○6-3佐野日大 ○11-3石橋 ○8-1真岡 ○7-0さくら清修 ----- 2017夏 ●2-3作新学院 |
38 | |||||
埼玉 156 |
市立川越(市) ※12/5辞退 |
地区1回戦 県準優勝 |
●1-2國學院栃木 ●2-8花咲徳栄 ○1-0浦和学院 ○9-7市立浦和 ○2-1聖望学園 |
53-50 | |||||
千葉 168 |
柏南(県) | 県ベスト16 | ●3-4流経大柏 ○10-9長狭 ○10-4八千代 |
64 | 考える習慣 | 2008安房 | |||
神奈川 189 |
鎌倉学園(私) | 県4位 | 横浜にコールド勝ち。 ●0-1慶應義塾 ○15-8横浜 ○7-2山北 ○3-1茅ヶ崎北陵 ○5-1相洋 ○3-2厚木北 |
67 | |||||
山梨 36 |
都留興譲館(県) | 県ベスト8 | ●2-8東海大甲府 ○6-3身延 ○3-2甲府商 |
47-36 | 2014創立の新設校 | ○ | 2007都留 | ||
東京 262 |
佼成学園(私) | 都準優勝 | 50年ぶり決勝、都内強豪倒す、日大三と接戦 ●5-11日大三 ○3-2国士舘 ○8-2東海大高輪台 ○7-0都立高島 ○2-0明大中野八王子 ○3-2堀越 |
64-61 | 2014小山台 | ||||
東海 | 静岡 112 |
静岡市立(市) | 県4位 | ●0-5常葉橘 ●4-9静岡 ○3-2日大三島 ○3-2掛川東 ○5-3韮山 |
63 | 挨拶・練習方法から改革 | 質実剛健 | ||
愛知 188 |
愛知産業大三河(私) | 地区1回戦 県準優勝 |
県内強豪校を撃破、東海大会惜敗。 ●1ー2常葉橘 ●1ー9東邦 ○9ー5中京大中京 ○3ー1大府 ○5ー4享栄 ○7ー0清林館 ○6ー5至学館 |
42 | ○ | 2008成章 2015豊橋工 |
|||
岐阜 68 |
大垣西(県) | 地区ベスト8 県準優勝 |
11年ぶり秋季東海大会出場。中京大中京(愛知)を破る。 ●0ー5三重 ○8-7中京大中京 ●2ー8中京学院大中京 ○7ー0岐阜各務野 ○9ー7岐阜総合学園 ○7ー0飛騨高山 ○7ー1岐阜工 |
53 | 3タイプ投手の継投 | ○ | 2017多治見 | ||
三重 63 |
桑名(県) | 県ベスト16 | ●2ー3いなべ総合 ○4ー2久居 |
68-57 進学校 |
学業と野球部の活動を両立 狭いグランド環境 |
||||
北信越 | 新潟 84 |
長岡大手(県) | 県ベスト8 | ●2ー5中越 ○2ー1村上桜ヶ丘 |
58-50 | 文武両道 | 短時間の効率的な練習 | ○ | 2003柏崎 2011佐渡 |
長野 85 |
松本深志(県) | 県ベスト8 | ●0ー8松商学園 ○12ー2長野 ----- 2017夏、2016夏.ベスト8 ●1ー2岩村田 ○9ー2長野工 ●8ー9松商学園 ○2ー0松本工 |
67 進学校 |
文武両道 | ||||
富山 47 |
富山国際大付(私) | 地区ベスト4 県準優勝 |
●0ー7星稜 ○2ー0松商学園 ○4ー3中越 ●2ー4富山商 ○5ー1桜井 ○5ー1氷見 ○5ー2高朋 ○10ー3砺波 ○2ー1南砺福野 ----- 2017夏県ベスト4 ●9ー10高朋 ○11ー4不二越工 |
51-42 | |||||
石川 49 |
飯田(県) | 県ベスト8 | ●1ー2星稜 ○7ー0松任 ○13ー5小松明峰 ○6ー2羽咋工 |
51-41 | 県内最北に位置(奥能登)、部員19人(うちマネ5) | 2006金沢桜丘 | |||
福井 30 |
金津(県) | 地区1回戦 県優勝 |
初優勝 ●1ー11松商学園 ○8ー6坂井 ○12ー11北陸 ○7ー6啓新 ○7ー2武生工 ○4ー3福井高専 |
59 | ○ |
*「みんなの高校情報(https://www.minkou.jp/hischool/)」を参考にさせていただきました。
** 都道府県下の数字は2017年第99回全国高校野球選手権地方大会より参加高校数を示す(連合チームは1校でカウント)。
■西日本
西日本の『21世紀枠』推薦校、出場校予想コラムは、こちらです↓。
■2018選抜・選抜出場校予想【西日本・21世紀枠を探る】編
都道府県、地区を勝ち抜いての『一般枠』出場校予想はこちらです↓。
参考にしてみて下さい。
■2018選抜・センバツ出場校予想【北海道・東北・関東・東京・東海・北信越】編
■2018選抜・センバツ出場校予想【近畿・中国・四国・九州】編
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